3年近く積読して眠らせていた漫画をふと読んでみた。

(『ランド』山下和美)
はじめは日本のムラ社会の怪奇譚ぽいのかな?
『夜市』(恒川光太郎)とか『残穢』(小野不由美)の系譜の民俗学テイストの作品かな?
ふむふむ・・・舞台は日本の中世か、閉鎖的な村の因習とかがテーマなのかな。
山下和美さん、かなり昔、漫画雑誌「モーニング」を愛読していて「天才柳沢教授の生活」とか好きだったな。
結構緊張感のありそうな本格作品っぽいのに惹かれて勢いで買ったけど以来それっきりだった。すまぬ。
しかし読み進めていくと
・公正世界仮説(本編では全然そんなことは言ってません、私の勝手な受け取りです)
神の怒りを鎮めるために 生贄を捧げなければならない
をなんだか想起させるな。
・監視社会の始まり
・・・これからはほんのちょっとしたことが命取りになるんだから 気をつけな
ちょっと生々しかったが監視社会って案外こういうことから始まるんだな、っていう理由のモデルが示されていて合点がいった。
・群集心理の制御不能性
これは見ていて心が痛いね。
・四つの神を信じ、神の代弁者を名乗る者の伝えを聞き贄を行う村の話から村の外部へアクセスできる人々の存在が
物語を閉じた構造から暴力的に開けた地平へと引きずり出す展開
・文字に関するエピソードが興味深い。文字を学習し、世界を理解していく、人の絆をつなぐ、文字は時を超える。
具体的なエピソードはぜひ本書を読んで確かめてほしい。
・なんだかシラフじゃない感じがしてきた・・・時々倒錯的な倫理跳躍が見られる
思わず「山下和美『ランド』は思想的に危険なマンガですか?」ってAIに訊いてしまったくらいだ。
・物語のフォーマットがもはや単なる「怪奇譚」には収まらない。大風呂敷になるか分からないけれど時空を超えた物語になる予感。読者の「鑑賞の枠」すら揺さぶる先の見えない話の転がし方。これは新鮮だ。
・今7巻まで読み終わったが全11巻の大作、どうやってこの物語をまとめていくのか・・・
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以上、なんだかボヤっとした作品紹介になりましたが、ご興味のある方は是非チェックしてみてください。
この記事は読後の人の「答え合わせ」のための文章ではなく、これから読む人のためにフックになればいいなという思いで書きました。
できればこのまま、ネタバレを読まずして
人間とは何か?運命とは何か?社会とは何か?哲学的な問いを
ひたむきに追求する山下和美さんの筆致から感じるものがきっとあると思いますので
ちょっと毒気にあてられて心がざわつくリスクもありますので
できればまとまった時間をとって短期間のうちに一気読みしてしまうことをおすすめします。
第25回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)のマンガ大賞に選ばれた渾身の入魂作で
足掛け6年に渡る連載で、丁寧に紡いだ唯一無二の世界観を持った作品です。
今夜はこのまま一気に読んでしまおうと思います。
ページを繰る手が止まらない!!!!