
■■■質問■■■
平清盛が宋銭を輸入した経済政策の新規性について知りたいです。
参考書籍とあるいはNHKのムック本みたいな親しみやすいものなど、わかりやすい解説本を紹介してください。
論文とかネット記事でもいいです。
■■■回答■■■
平清盛による宋銭導入の新規性は、
①それまで主に銅素材扱いだった宋銭を「意識的に貨幣として大量導入」し、
②物々交換中心だった日本に「本格的な貨幣経済を根づかせる」ことを狙って行われた「政策的なマネー導入」であった点にあります。
▶新規性・先駆性はどこか
・律令貨幣(皇朝十二銭)崩壊後、日本では長く実質的な無貨幣社会(絹や米などを基準とする「絹・米経済」)が続いていました。
・宋銭自体は清盛以前から流入していましたが、経筒や仏具のための「銅材」とみなされることが多く、「貨幣制度の中核」として政策的に用いられていたわけではありません。
・清盛は、太宰府・大輪田泊(神戸)を拠点に日宋貿易を強力に推進し、「宋銭を貨幣として計画的に輸入し、流通させる」ことを目標としました。
・12世紀後半には、朝廷内部で宋銭を前提とする沽価法(公定価格制)を公認するかどうかが議論される段階に入り、「貢納・価格表示の単位に宋銭を用いる」発想が出てきますが、その前提となる銭の大量流入を作ったのが平氏政権でした。
この結果、
・荘園年貢や市場取引で宋銭決済が広まり、鎌倉期に本格化する貨幣経済への基礎が築かれた。
・「銭を押さえる=金融を押さえる」という構図で、平家は実質的に宋銭輸入を独占し、「中央銀行的」地位を占めたと解釈する議論もあります。
つまり、新規性は「外貨(宋銭)を、単なる貢物や素材ではなく、『意図的な経済政策として』導入し、貨幣経済への転換を図った点」にある、と整理できます。
▶初学者向け・解説として読みやすい本・記事
▶単行本・一般向け新書系
1.歴史教養系の一般書・ムックで「平清盛」「日宋貿易」「貨幣経済」をキーワードにした入門書
・たとえば、KADOKAWAやPHP、宝島社などの「日本史の新常識」系ムックでは、清盛=「マネー革命を起こした人物」として数ページで図解されるものが多いです。
・書名が頻繁に変わるため、書店・図書館では「平清盛 日宋貿易 貨幣経済」といったキーワードで棚・OPACを当たるのが確実です。
2.横断的・通史的な概観把握ができる書籍
・通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (高木久史)中公新書
清盛が宋銭を普及させようとした際、保守的な公卿たちは「これまで米や絹で済んでいたのに、なぜ得体の知れない銅の粒を使わねばならないのか」と反発しました。九条兼実の『玉葉』などに見られる、宋銭の流行を「銭の病」と呼び、社会不安の象徴として捉えた記述についても、当時のリアリティとして紹介されています。
・『経営者・平清盛の失敗 ― 会計士が書いた歴史と経済の教科書』(山田真哉)講談社
ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者による、数字の視点で歴史を読み解く知的エンターテインメントです。 武士として初めて政権を握った平清盛を「経営者」と見立て、その革新的な経済センスと挫折の要因を会計士ならではの鋭い視点で分析しています。 歴史のロマンに「会計」という現代的なスパイスが加わり、ビジネスや現代社会を生き抜くヒントも学べる、非常に贅沢な一冊です。
3.Web記事だが、読み物としての導入に適しているもの
・nippon.com「悪役・平清盛、ホントは貿易を振興し、貨幣経済を進展させた…」
→ 平家物語的イメージをひっくり返し、「経済改革者としての清盛」を一般読者向けに整理しています。
参考リンク:
悪役・平清盛、ホントは貿易を振興し、貨幣経済を進展させた一流財界人 | nippon.com
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c10505/
・【第二部完結!】日本史ミステリー「宋銭普及の謎」すべての真相解明---通貨に秘めた"清盛の野望"、そして意外すぎる滅亡への伏線(山田 真哉) | 現代ビジネス | 講談社
→ 歴史と経済の視点を融合させた独創的な分析で、通貨普及という経済現象が権力闘争や社会変革とどう結びつくかを分かりやすく解説している良質な記事です。
参考リンク:
https://gendai.media/articles/-/22837
・「英雄たちの選択『平清盛のマネー革命』」の内容を整理したブログ記事
→ NHK BSプレミアムの番組内容を要約しており、「貨幣経済導入を意識的に行った」という新規性がわかりやすくまとまっています。
参考リンク:
"日本に貨幣経済を本格的に持ち込んだ平清盛"(7/29 BSプレミアム 英雄たちの選択「平清盛のマネー革命~銭の力で新時代をひらけ!~」から) - 教養ドキュメントファンクラブ
https://tv.ksagi.work/entry/2020/07/30/220757
▶経済史・貨幣史寄りの少し専門的なテキスト
4.田中浩司「日本中世の貨幣をめぐる諸問題」(函館大学のPDF)
・中世貨幣史の論点をスライド状に整理した資料で、平氏政権による宋銭輸入、治承三年の沽価法論議など、宋銭をめぐる政治・制度の位置づけがコンパクトに示されています。
・本格的な論文というより授業用ハンドアウトに近く、専門内容の入口として読みやすい部類です。
5.中世経済史・貨幣史の概説書
・「日本中世の貨幣」「日本中世経済史」などのタイトルで出ている学術書・概説書(有斐閣、岩波、吉川弘文館など)では、宋銭の流入と貨幣経済の発展が必ず一章立てで扱われます。
・清盛個人というより「12〜13世紀の貨幣流通の中で平氏政権がどのような役割を果たしたか」というマクロな視点を整理するのに向いています。
▶NHK系の番組・ムック系リソース
・NHK BSプレミアム「英雄たちの選択 平清盛のマネー革命〜銭の力で新時代をひらけ!〜」
・清盛がなぜ宋銭に着目したのか、宋銭を銅素材ではなく貨幣として流通させようとした意図は何か、といった点を、日宋貿易・大輪田泊整備とセットでわかりやすく扱っています。
・放送内容をまとめた解説記事・関連本は、番組名で検索すると出やすいです。
・大河ドラマ「平清盛」関連ムック
・放送当時、NHK出版から「歴史ハンドブック」「完全ガイド」のようなムックが複数出ており、その中で「日宋貿易と宋銭」「海の覇者としての清盛」「貨幣経済の進展」といったトピックが図解されている構成が多いです。(現行品は改題・再編集されている可能性があるため、古書店・図書館で「NHK 平清盛 ムック」で探すと見つかりやすいと思います。)
▶読み進める順番の一例
1.nippon.com や横断的・通史的な概観把握ができる書籍の記事で、「悪役ではなく経済改革者としての清盛像」「宋銭が余剰になった国際通貨史的背景」を感覚的に掴む。
2.英雄たちの選択の解説記事や大河関連ムックで、「日宋貿易・大輪田泊整備・宋銭流通」のパッケージングを視覚的に確認する。
3.田中浩司PDFや中世貨幣史の概説書で、「宋銭輸入の量的拡大」「沽価法論議」「鎌倉幕府による宋銭容認」など制度史レベルの整理を行う。
この流れで追うと、「清盛個人の合理性」「国際経済との接続」「中世日本の貨幣構造」という三層がきれいに重なり、宋銭輸入政策の新規性・現代的意義(中央銀行論・通貨政策とのアナロジー)も見えやすくなるはずです。
◆◆◆◆◆ぴとてつ補足事項◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
BSプレミアム「平清盛のマネー革命~銭の力で新時代をひらけ!~」
シーズン1エピソード18(回はわかっている)
U-NEXTで配信あるかな?と思ったけど
結論から申し上げますと、現在、この番組を常時視聴できる定額制(見放題)配信サイトはありません。
視聴方法と現状
この番組は、大河ドラマ『平清盛』の放送に関連して制作された歴史教養ドキュメンタリーですが、現在は以下の状況になっています。
NHKオンデマンド / U-NEXT(NHKオンデマンド経由) 過去に配信されていた時期もありましたが、現在はラインナップから外れており、検索してもヒットしない状況です
Amazon Prime Video(NHKオンデマンドチャンネル) こちらも同様に、現在は取り扱いがありません。
再放送の可能性 NHK BSや地上波の歴史番組枠(『英雄たちの選択』や『歴史探偵』の関連枠など)で稀に再放送されることがありますが、現時点で直近の予定は確認できませんでした。